四季の食材紹介
私たちの生活の舞台・早川町は、3000mを超える南アルプスの山々に囲まれた地域です。
この町で暮らす人々は、この大自然が与えてくれる山の恵みと共に生きてきました。当店でも、そうした暮らしを受け継ぎ、後世に伝えていくために、時間を見つけてはスタッフ自らこの大自然に分け入り、里山、奥山、そして集落周りの自然から得られる様々な山の恵みを皆様にご提供しています。
ここでは、私たちがご提供している四季折々の山の恵みを、月夜見山荘の宿主がご紹介します。早川町の豊かな自然と、それに支えられた豊かな山の人たちの暮らしぶりがお伝えできれば幸いです。
春
山菜と春の野草たち
春先に山桜が山をピンクに染め、それが終わると若葉を出し始めた木々が山が萌黄色にします。本格的な山菜シーズンももうすぐ。山で暮らす人たちが、一年で最もウキウキする季節。
タラノメ、コシアブラなどを探しに山へ。里ではワラビ、コゴミを摘んだり、ニョキニョキと顔を出したタケノコを掘ったり。毎春20種類以上の山菜、野草を採り、天ぷらや煮物、和え物などに利用しています。ワラビやタケノコはアクを抜き、たくさん採れたツクシ、コゴミ、山椒の実などと一緒に通年使えるよう保存。
計画的にやらないと、あっという間に山菜の季節は過ぎていく。1日1日が勝負の、一年で一番忙しい季節でもあります。
山菜・春の野草
夏
川魚と夏の野草たち
山菜シーズンが終わり、雪解け水も少し温んできた頃からは、腰につけていた山菜籠を魚籠に付け替えせっせと渓流に通います。早朝、まだ薄暗いうちに家を出て、誰よりも早く入渓ポイントへ。そこから半日〜丸1日かけて渓流を釣り上がります。
早川、野呂川水系に生息してる渓流魚はアマゴかイワナ。師匠からは、昔はカジカやアユ、ウナギもたくさんいたという羨ましい話を聞きますが、最近では見かけることはまずありません。天然のアマゴやイワナも台風災害なども影響し数が減っているため、ご宿泊のお客様にお出しする分だけ釣っています。
まあ、これは腕が悪く数多く釣れないという説も有力で、魚が思うように釣れない時は、周りの岩場に目を向け、ミズやイワタバコなどを収穫し「充実した山菜採りだった」と目的自体も変えて、その日のミッションを達成したことにするのでした。
夏の野草
川魚
秋
キノコ、木の実、果物
猟期が残すところあと1ヶ月となった9月上旬、渓流に後ろ髪を引かれながらも、今度はキノコを探しに山へ出かけます。
毎年1つ、2つと新しいキノコを覚え、10種類以上のキノコを判別できるようにはなりました。採れた天然キノコは、主にコース料理の中でお出ししています。
しかし、恥ずかしながらまだ私、師匠の力を借りずにマイタケ、マツタケ、コウタケなどのエース級キノコに出会ったことはありません(ようは、師匠に教えてもらった場所でしか採ったことがない)。本格的にキノコ狩りを始めて5年。自分だけのマツタケ山を発見するんだ!山奥のミズナラの大木の根元で15kgのマイタケを発見し舞い上がるんだ!と毎回意気込んで山へ行くのですが、その夢が実現する日が来るかどうかは山の神さまのみぞ知っている?!
キノコ
果実・木の実
冬
ジビエと冬の山野草
11月になると、約5ヶ月に渡る猟期がスタート。罠猟の免許を持っている私は、くくり罠でニホンジカやイノシシを狙います。
まず山に入り「ウト」と呼ばれる獣の通り道を見つけて、そこに罠を仕掛けます。直径12cmの穴に獣が足を踏み込むと、罠が作動するのですが、その小さな穴に足をついてもらえるかどうかが勝負の分かれ目。罠の存在に気づかれないようにカモフラージュするのはもちろん、木の枝や石を罠の前後に置いて、罠に足を誘導したりもします。獣に罠の存在に気づかれ、罠を迂回した足跡が残っているなんてことも。まさに獣との知恵比べ。
獲れた獣は、早川町ジビエ処理加工施設に持ち込み、衛生的かつ合法に解体処理してもらい、ランチ、コース料理、囲炉裏BBQなど様々な形でお客様にご提供し喜んでもらっています。
冬の野草
ジビエ
他
その他、地域の食材
その他にも、町内で生産されている野菜、加工品などは積極的に活用しています。ここでは、昔から種をとって作り続けられてきた在来種の野菜、そして早川町自慢の農産物、加工品などを紹介します。
在来種の野菜
町内の生産物
早川の食材をもっと知りたい方へ
早川町を20年以上研究している「上流文化圏研究所」のサイトでは、食材を始め町の食文化についても知ることができます。食文化についておすすめの2冊は以下です。
山人ルーツ(クリックすると冊子のPDFが開きます) |
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【野菜、山菜を知る】今も受け継がれる「伝統野菜」 |
【ジビエを知る】山の猟の移り変わり |